【第1回】ドン・キホーテ・シンガポールのケースから学ぶ越境ECのヒント

【第1回】ドン・キホーテ・シンガポールのケースから学ぶ越境ECのヒント

ドン・キホーテのシンガポール進出

昨年の12月、ドン・キホーテ・シンガポール1号店がオーチャードセントラルにオープンした。
名前は「DON DON DONKI」。
シンガポール在住の友人によれば、雑貨・化粧品・食品・酒類・生鮮まで凄い品揃えで、価格も日本の1.2倍程度と驚きの安さだとのこと。

特に驚いたのは食品。
日本のフレッシュな野菜や果物があるだけでなく、
おはぎのようなそれまでシンガポールでは買えなかったような和菓子まで揃っていること。

さらに驚くべきは、売り方自体も日本のそれと同じように工夫されている。
例えばねぎ。日本のスーパー同様、一本売りされているそうである。
「日本産・日本製品をどこよりも安く!」というお店のコンセプトの言葉どおりの戦略で、店内は連日満員御礼。

6月に2号店、来年にはタイへと進出予定と鼻息も荒い。その様子はいろいろな人がブログなりSNSなりで取り上げているので詳細はそちらに任せるが、ドン・キホーテのシンガポール進出には越境ECを考える上でのヒントがたくさんありそうである。

ドン・キホーテのケースで見る差別化

海外での販売を考える時に、
「商品と国」「ターゲット」「売り場(サイトか、モールか)」という順番で考えて、店舗、つまりサイトとしての差別化を明確に図る必要があるといつも申し上げてきた。

この考え方は、リアル店舗でもECサイトでも同じであろう。差別化とはあくまで顧客の目線で見た時の他社との圧倒的な違いを指す。

例えばこのように区別してみると分かりやすい
・製品   : 使いやすい・長持ちする・リサイクルできる
・価格       : 他者の製品よりも安い
・サービス : 買う時と買った後、手間がいらない・何かと便利
・ブランド : 買う時安心できる、持っていることが自慢

ドン・キホーテ・シンガポールのケースでは、
「(日本の1.2倍程度という)価格」と
「(日本製品、またドン・キホーテというショップ名の持つ)ブランド」の2つが差別化である。

品揃えも価格も消費者の期待を決して裏切らない、圧倒的な差別化。

筆者としては化粧品や食品、酒、まして生鮮品などをどのように日本からシンガポールに輸送し、輸入通関したのか気になるところだが、消費者にとってはそのような物流のノウハウは差別化でもなんでもない。日本の新鮮な野菜やおいしい果物が、シンガポールにいながら安く買うことができるという現実が消費者にとって重要なのである。

まず「商品と国」を固めること

越境ECを考える上で、まず「商品と国」を固めることが肝要である。

それではどうやってその商品を選定すればいいのか。
それはまさにもっとも差別化のある商品、つまり自分たちの売っている商品の中で一番自信があるものこそが、売るべき商品である。
売れる商品は何か、ではなく、一番売りたい商品は何か、という視点をもつことが大事なのである。

売れる商品は何か、どこの国なら売れるのかと考えてしまうと、売れなければ別の商品、違う国へと越境EC難民化してしまい、いつまでたっても落ち着かない。

このコラムでは、商品の考え方や国の選び方、そしてターゲットの考え方を、具体的な例をあげながら、皆様と一緒に考えていきたいと思います。何かひとつ、ビジネスのヒントにでもなれば幸いです。

***   次回のコラムは、商品の決め方① 「差別化の整理」です。   ***

執筆者プロフィール

中川 泰

株式会社エスプール

営業本部 エグゼクティブプロデューサー兼越境EC支援事業部長 中川 泰 

【経歴】
大学卒業後、近鉄航空貨物株式会社に入社し、輸出航空貨物の営業を約3年(横浜地区の新規顧客担当を2年経験、所内デスク業務を1年)経験。 その後は、輸入営業部門へと異動し、輸入航空貨物の営業を約10年行い、主に防衛庁関連の輸入貨物、大手航空機部品会社、海外コンピュータメーカー、大手書籍販売店の輸入業務を担当する傍ら、大手荷主の物流センターの海外移転事業の事業企画などにも従事。1998年1月に近鉄エクスプレス社を円満退職し、リンクスタッフを創業。 
2000年にEC物流事業を開始し、インターネット通販専門のBtoC物流事業を開始。 2013年、海外向けBtoC物流の取扱いのために、ロケーションズを立ち上げ。その後海外向け通販物流の事業立上のためにエスプールに入社。現在に至る。

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