越境ECのプロが教える「ここがポイント!失敗しない越境EC」|商品の決め方① 「差別化の整理」

【第3回】商品の決め方② 「物流目線 - 輸出入規制」

国内ECと越境ECの違い

国内ECと越境ECで決定的に違うのは物流の仕組みである。
決済も言語も違うといえば確かに違うが、通貨とか使用言語といったツールが違うだけで仕組み自体に大きな違いはない。しかし物流だけは、ツールも仕組みもルールも法律もプレーヤーもすべて違う。

経産省の資料によれば、越境ECにおけるトラブルの75%は物流のパートで起きているそうだ。そのことを思えば、商品選定において物流の目線を持つことの重要性は容易に理解できるであろう。あらかじめ物流でのトラブルを想定しておくことで、相当数の事故は防ぐことができるだろうし、万が一実際にトラブルが起きたとしてもあわてることなくシューティングできる。

ポイントは5つ。
具体的には「輸出入の規制」、「税金」、「航空輸送」、「ダメージ」そして「商標権」という視点を上げてみた。商品選定のヒントにでもなれば幸いである。

輸出入の規制

まずはじめは「輸出入の規制」である。
貿易である以上、さまざまな規制があるが、その中で特に気を付けたいのが「ワシントン条約」である。ワシントン条約とは、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約のことで、かけがえのない自然の一部をなす野生動植物の一定の種が過度に国際取引に利用されることのないようこれらの種を保護することを目的とした条約である。国際取引が規制されるのは動植物種の生体だけではなく、死体や剥製、毛皮・骨・牙・角・葉・根など生体の一部、およびそれらの製品も対象となっている。

税関のHPでは次の9つに分けられている。
(1) 生きている動物
(2) 漢方薬
(3) 象牙・同製品
(4) 毛皮・敷物
(5) 皮革製品
(6) ハンドバック・ベルト・財布等
(7) はく製・標本
(8) アクセサリー
(9) その他(サンゴ、貝、卵製品等)

該当しないことを証明できるかどうか

ワシントン条約というとワニやヘビ、象牙などを思い浮かべるかもしれない。珍しいカメや猿が税関で見つかったというニュースもたまに見かける。そのような稀少生物を越境ECで取り扱う人はいないであろうが、(3)の象牙や、(4)の毛皮、(9)のサンゴや貝などを商品の部品として使用してしまい、税関検査で引っかかってしまったという話はたまにきく。ハンチング帽についている羽やダッフルコートのボタンなどがその例である。

しかし越境ECでしばしば問題になるのは、実はワシントン条約に引っかからないものであるにも関わらず、それをちゃんと証明できない場合である。

たとえば、ヘビやエレファント風に加工された牛革製の財布や時計のバンド。メーカーであればその製品が何でできているかを書面で証明することは容易ではあるが、その証明書類が何らかの理由で入手できない場合、輸入許可はおりず、また積み戻すこともできずに最終的に滅却されてしまうという笑えない話がある。

自社で取り扱う商品が何でできているかは、たとえボタン1個といえどもちゃんと把握しておきたい。

 

執筆者プロフィール

中川 泰

株式会社エスプール

営業本部 エグゼクティブプロデューサー兼越境EC支援事業部長
中川 泰 

【経歴】
大学卒業後、近鉄航空貨物株式会社に入社し、輸出航空貨物の営業を約3年(横浜地区の新規顧客担当を2年経験、所内デスク業務を1年)経験。 その後は、輸入営業部門へと異動し、輸入航空貨物の営業を約10年行い、主に防衛庁関連の輸入貨物、大手航空機部品会社、海外コンピュータメーカー、大手書籍販売店の輸入業務を担当する傍ら、大手荷主の物流センターの海外移転事業の事業企画などにも従事。1998年1月に近鉄エクスプレス社を円満退職し、リンクスタッフを創業。 
2000年にEC物流事業を開始し、インターネット通販専門のBtoC物流事業を開始。 2013年、海外向けBtoC物流の取扱いのために、ロケーションズを立ち上げ。その後海外向け通販物流の事業立上のためにエスプールに入社。現在に至る。

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