越境ECのプロが教える「ここがポイント!失敗しない越境EC」|商品の決め方② 「物流目線 - 税金」

【第4回】商品の決め方② 「物流目線 - 税金」

物流の目線の2回目は「税金」である。

貿易における税金としては、関税やVAT、消費税などが一般的であるが、国によってその呼び名も変わったり、それ以外の税金があったりする。中国では消費税のことを増値税とよび、尚且つ、消費税という名前のぜいたく品税のような別の税金がありややこしい。個人向の輸入に対しては行郵税という税金もある。オーストラリアやシンガポールには消費税に相当する物品・サービス税(GST)がある。当然、それぞれ課税の条件や税率が違う。取引条件がDDU(=Delivered Duty Unpaid)であるから関税も消費税も関係ないし、そもそも個人向の小口貨物であれば税金はかからないだろうとたかをくくっていると、受取拒否など思わぬトラブルにつながるので、事前によく調べておくことが肝要だ。

さて、今回はその税金という目線で商品選びを考えてみたい。

◆税金① ~ 関税

実際、個人向け通販の小口輸入には、多くの国で免税枠が設けられているので、関税でトラブルになることは少ない。しかし、自社の商品の関税率がどれくらいなのかを把握しておくことは、今後B2Bへとビジネスが発展した際に重要な情報となってくるので、知っておいて損はない。そのためには、まず自社製品のHSコードとよばれる税番を知っておくことである。HSコードとは、HS条約という国際条約に基づく、商品の名称および分類についての統一システムのことで、国際貿易の商品名称と分類を6桁の品目番号で示したものである。頭から2桁を「類」、同4桁を「項」、同6桁を「号」、残り3桁を「統計細目」としている。このうち号までの頭6桁までは世界共通となってる。この番号さえ分かれば、その国での関税率は概ねわかるので、ぜひ調べておきたい。

◆税金② ~ VAT(Value Added Tax)

関税よりも頭が痛いのはVATと呼ばれる消費税だ。VATとは物やサービスの購買時に課せられる間接税のことで、付加価値税ともいわれる。輸入時には、インボイス価格と運賃、保険料、関税の合算額をもとに計算される。欧州では20%前後、中国で17%とかなりの税率である。例えばTPP等の施行により関税が廃止されたとしてもVATは残り、またVATに関しては個人輸入に対しての免税枠も設けられていない国が多いため、たとえ個人輸入であっても輸入時に課税されてトラブルになる。

VATは消費税であるため、最終消費者が最終消費国で納税するのが原則であるので、取引条件がDDP以外であれば、本来は輸入者が負担する税金である。しかしEU Amazonのように、販売価格に“すべての税金(関税やVAT)を含ませること”が条件である場合や、アマゾンのFBAサービスを利用する際に、現地でのVATをいったん立て替えの場合の「還付」や「納付」には少々注意が必要である。そもそもEU Amazonで販売を行うためにVAT登録が必要になるため、「VAT登録」「申告」「納付」「還付」といった手続きにコストがかかる。どこの国に展開する際には、その国の税法や販売価格の考え方、VATの納付や還付の仕組みを十分検討したいものである。

執筆者プロフィール

中川 泰

株式会社エスプール

営業本部 エグゼクティブプロデューサー兼越境EC支援事業部長
中川 泰 

【経歴】
大学卒業後、近鉄航空貨物株式会社に入社し、輸出航空貨物の営業を約3年(横浜地区の新規顧客担当を2年経験、所内デスク業務を1年)経験。 その後は、輸入営業部門へと異動し、輸入航空貨物の営業を約10年行い、主に防衛庁関連の輸入貨物、大手航空機部品会社、海外コンピュータメーカー、大手書籍販売店の輸入業務を担当する傍ら、大手荷主の物流センターの海外移転事業の事業企画などにも従事。1998年1月に近鉄エクスプレス社を円満退職し、リンクスタッフを創業。 
2000年にEC物流事業を開始し、インターネット通販専門のBtoC物流事業を開始。 2013年、海外向けBtoC物流の取扱いのために、ロケーションズを立ち上げ。その後海外向け通販物流の事業立上のためにエスプールに入社。現在に至る。

関連記事

越境ECのプロが教える「ここがポイント!失敗しない越境EC」|商品の決め方① 「差別化の整理」の画像

【第3回】商品の決め方② 「物流目線 - 輸出入規制」

国内ECと越境ECで決定的に違うのは物流の仕組みである。決済も言語も違うといえば確かに違うが、通貨とか使用言語といったツールが違うだけで仕組み自体に大きな違いはない。しかし物流だけは、ツールも仕組みもルールも法律もプレーヤーもすべて違う。本コラムが、商品選定のヒントにでもなれば幸いである。
越境ECのプロが教える「ここがポイント!失敗しない越境EC」|商品の決め方① 「差別化の整理」の画像

【第2回】商品の決め方① 「差別化の整理」

ルービックキューブという立体パズルがある。ツクダオリジナル社によって日本に最初に輸入されたのは1980年7月。その1か月前に朝日新聞で紹介されたことで問い合わせが殺到し、発売開始後わずか8か月間で400万個が売れたという。今回は、一大ブームから読み解く「差別化の整理」についてお届けいたします。
【第1回】ドン・キホーテ・シンガポールのケースから学ぶ越境ECのヒントの画像

【第1回】ドン・キホーテ・シンガポールのケースから学ぶ越境ECのヒント

昨年の12月、ドン・キホーテ・シンガポール1号店がオーチャードセントラルにオープンした。名前は「DON DON DONKI」。今回のコラムでは、ドン・キホーテ・シンガポールのケースから越境ECのヒントを読み解いていきます。