越境ECのプロが教える「ここがポイント!失敗しない越境EC」|商品の決め方① 「差別化の整理」

【第2回】商品の決め方① 「差別化の整理」

ブームに学ぶ差別化の整理

ルービックキューブという立体パズルがある。

ツクダオリジナル社によって日本に最初に輸入されたのは1980年7月。
その1か月前に朝日新聞で紹介されたことで問い合わせが殺到した。
ツクダオリジナルによれば、この朝日新聞の記事は、商品の関心を高める点で「効果的だった」と言っているように、
発売開始後わずか8か月間で400万個が売れたという。

その20年以上も前に、1カ月に80万本も売れた輸入商品がある。
フラフープである。
1958年のアメリカでの大流行を受けて同年に輸入開始。
フラフープは美容と健康によいという宣伝にのって一大ブームが起きた。

越境ECの相談でまず初めに聞かれるのは、
うちの商品の中でどの商品が売れますか、という質問だ。

残念ながら私はそれに対して明確に答えることができない。
今売れている商品であれば知っているが、これから売れるものが何かについてはわかるはずもない。
世界の市場は広く、嗜好も好みも様々で、その変化のスピードはすさまじい。

しかし越境ECで何をどう売るかという手順であればわかる。
その商品のよさ(差別化)を整理してわかりやすく伝えることと、
その商品を知るきっかけをつくってあげること の2つである。

何を売るかではなく、どう売るのか

文化も習慣も物価も違う国に物を売るのであるから、
まずはその商品の特徴やメリットをできるだけシンプルに伝えることが肝要である。
くどくど説明しなければいけないような差別化では差別化にならない。
日本人にしかわからない常識は世界では非常識なのである。
またそれをどうやって伝えるかも重要である。
いくら商品がよくても知られなければ買ってもらえない。
使う人が自然とその商品の情報に触れるような機会を意識して作っておくことが重要なのである。

ルービックキューブもフラフープも、それが何をするものなのかがすごくわかりやすい。
見ればわかるし、欲しくなる。
加えてマスコミなどに取り上げられたため、すさまじい売上を短期間で上げることに成功した。

皆様が取り扱う商品にも素晴らしい特徴がありそれを使うメリットがあるはずである。
特に一番売れているエースの商品にはそういった差別化があるのであるから、
その差別化をどう伝えるかを十分検討して、その商品をまずは越境ECで売る一番の候補として考えてみるべきである。

何を売るかで悩むのではなく、どう売るのかで悩むべきである。

ロングテールで売っていく戦略をたてる

ルービックキューブのブームは2年足らずで終焉し、
ガンプラブームにとって代わってしまった。
フラフープに至っては、健康被害が疑われたり、小学校で禁止令が出たりするなどして、
わずか40日足らずでブームは終焉してしまった。

このようにある商品が急速に広まり、熱狂的に受け入れられ、たちまちピークを迎え、廃れてゆく現象を「ファッド(FAD)」と呼ぶそうだが、
ビックリマンチョコやキャベツ畑人形など枚挙にいとまがない。
越境ECで世界に展開するのであれば、すぐに廃れてしまうのではなく、ロングテールで売っていく戦略を立てたいものである。
ちなみにルービックキューブは、2003年に世界大会が復活して以来、息を吹き返している。
6面を揃えるだけのスピードキューブにとどまらず、各面に様々な模様をつくるパターンキューブという技がたくさん開発されたり、
認知症予防への活用が検討されるなど、進化を続けているそうである。

いい商品をつくり、マーケットの声に耳を傾け、常に進化を続けていく限り、マーケットに長くとどまることは可能である。

 

  *** 次回のコラムは、商品の決め方② 「物流の視点」です。   ***

執筆者プロフィール

中川 泰

株式会社エスプール

営業本部 エグゼクティブプロデューサー兼越境EC支援事業部長 中川 泰 

【経歴】
大学卒業後、近鉄航空貨物株式会社に入社し、輸出航空貨物の営業を約3年(横浜地区の新規顧客担当を2年経験、所内デスク業務を1年)経験。 その後は、輸入営業部門へと異動し、輸入航空貨物の営業を約10年行い、主に防衛庁関連の輸入貨物、大手航空機部品会社、海外コンピュータメーカー、大手書籍販売店の輸入業務を担当する傍ら、大手荷主の物流センターの海外移転事業の事業企画などにも従事。1998年1月に近鉄エクスプレス社を円満退職し、リンクスタッフを創業。 
2000年にEC物流事業を開始し、インターネット通販専門のBtoC物流事業を開始。 2013年、海外向けBtoC物流の取扱いのために、ロケーションズを立ち上げ。その後海外向け通販物流の事業立上のためにエスプールに入社。現在に至る。

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